BROWN UNIVERSITY ・ SEC FORM 13F

ブラウン大学基金の保有銘柄一覧 — 資産の24%を占めるStubHub株は、上場価格を4割超下回ったままだった

手法
Form 13F-HRの保有明細をそのまま集計。推定・按分・時価の再計算はしていません(N=11銘柄、うちCerebras Systemsのプット・オプション3口は1銘柄として合算)
一次資料
SEC EDGAR Form 13F-HR

ブラウン大学の基金運用を担うInvestment Officeが米SECに提出した最新のForm 13Fで、保有資産の23.78%を単一銘柄が占めていることが判明しました。チケット転売大手のStubHub Holdingsです。MIT基金のクーパンハーバード基金のSpaceXと同じく「上場前からの保有が、IPOで初めて開示に現れた」という構造は共通していますが、中身は正反対——StubHubは2025年9月の上場自体が期待割れに終わり、株価はいまも公開価格を4割超下回ったままです。「化けた賭け」ではなく「下振れた賭け」が、たまたま開示上は同じ形で目立っている例です。

この四半期の要点:新規に加わったのはCerebras Systemsのプット・オプション($1,634万・14.6%、株そのものではなく下落方向のオプション3口)とArch Capital Group($99万・0.9%)。全売却はBlue Owl Capital Corporation(BDC、前期$1,686万)とiShares MSCI ACWI ETF(前期$490万)の2銘柄。継続保有銘柄はすべて株数不変で、動いたのは株価のみ——StubHubが$1.29億→$2.65億(+106%)と急回復し、ポートフォリオ全体を押し上げました。

数値はSEC EDGARの公開データ(2026年6月30日時点、8月5日提出分)に基づきます。

ブラウン大学のヴァン・ウィックル・ゲートを題材にした装飾イラスト(記事の判断材料ではなく雰囲気画像)
13F報告資産
$1.12億
前期比+9.6%
保有銘柄数
11銘柄
上位1銘柄(StubHub)で23.8%
提出日
2026/8/5
対象:2026年Q2(6/30時点)
次回更新目安
2026年11月中旬
Q3 2026分の提出後

Evidence Card

この記事の検証条件を1か所にまとめました。再検証・引用にどうぞ。

対象
Brown University(CIK 0001664741、基金運用の実務はInvestment Officeが担当)の米国株保有全銘柄
期間
2026年Q2(2026年6月30日時点、8月5日提出)
手法
Form 13F-HRの保有明細をそのまま集計。推定・按分・時価の再計算はしていません(N=11銘柄)
更新トリガー
四半期ごと(提出期限は四半期末から45日)。次回目安2026年11月中旬
データ
出典:SEC EDGAR Form 13F-HR(CIK 0001664741)。米国政府著作物としてpublic domainです。
ID
IVYXON Evidence #0019
最終更新
2026年8月19日
作成者
IVYXON
レビュー状況
編集部確認
01 · THE REVEAL

なぜStubHub1銘柄で資産の24%を占めるのか

StubHubは2025年9月16日にIPO価格を$23.50(想定レンジ$22〜25の中間)に決定し、翌17日にNYSEへ「STUB」のティッカーで上場しました。調達額は約$8億、想定評価額は$86億——上場前に私設市場で語られていた$165億という評価額を大きく下回る「ダウンラウンドIPO」でした。初日は寄り付きで$25.35(+8%)まで買われたものの、終値は公開価格を下回る$22で取引を終えています

ブラウンは2026年6月30日時点で206万2,425株、評価額にして$2,654万のStubHub株を保有していたことが、8月5日の13F提出で判明しました。この比率はブラウンの13F開示ポートフォリオ全体($1.12億)の23.78%——単一銘柄として最大の規模です。これは「ブラウンがStubHub社そのものの24%を握っている」という意味ではなく、あくまでブラウンの13F開示分の中でStubHubが占める比率である点に注意してください。

SEC EDGARの13F提出履歴を遡ると、ブラウンの13FにStubHubが初めて現れるのは2025年9月30日時点の報告(保有株数206万2,425株)——StubHubが同年9月17日に上場した後、最初に到来した四半期末です。13Fの開示対象は米国上場株式・ETF等に限定されるため、非公開企業の株式を保有していても四半期開示には一切現れません。IPOという「開示の扉」が開いた瞬間に、非公開時代からのポジションが姿を現した形です。以来4四半期連続でこの株数は一切変化していません——買い増しも売却もせず、転換された株をそのまま持ち続けています。

ブラウンの資産運用部門Investment Officeは、公式サイトで直接投資について次のように説明しています。

外部の運用者経由では取れない機会にアクセスするため、あるいはその方がコスト効率が良い場合に、Investment Officeは随時、直接投資を行うことがあります。

— Brown University Investment Office「About」ページ(investment.brown.edu)

StubHub固有の投資判断・金額・時期についての公式な言及は確認できていません。ただしEDGARのタイミング(StubHub上場直後の四半期末に初出現)と株数が完全凍結している状態証拠は、MIT/クーパン、ハーバード/SpaceXと同型の「非公開時代からの転換株」パターンを強く示唆します。異なるのは結末です——株数は一切動いていない一方、評価額は上場後の株価変動をそのまま映して大きく振れています。

四半期末評価額逆算株価
2025-09-30(初出現)$3,473万$16.84
2025-12-31$2,790万$13.53
2026-03-31$1,287万$6.24
2026-06-30(最新)$2,654万$12.87

2026年Q1決算(EPSが予想未達・売上高は予想超過)の発表直後、StubHub株は一時$7台前半まで下落しました(52週レンジ$5.74〜$27.89)。6月末時点の逆算株価$12.87は、その安値からは回復したものの、上場価格$23.50の45%減という水準です。株数206万2,425株が一貫して不変であることから、この評価額の上下動はすべて株価そのものの変動によるもので、ブラウンによる売買の結果ではありません。

02 · TOP HOLDINGS

保有銘柄一覧(11銘柄・ポートフォリオ比率順)

銘柄ティッカー比率評価額
StubHub HoldingsSTUB23.78%$2,654万
Blue Owl CapitalOWL20.14%$2,249万
Cerebras Systems(Put)CBRS14.64%$1,634万
SPDR Gold TrustGLD13.03%$1,455万
NVIDIANVDA9.50%$1,060万
iShares Bitcoin TrustIBIT6.34%$707万
Chime FinancialCHYM3.75%$419万
ATAI BeckleyATAI3.39%$379万
Compass PathwaysCMPS2.71%$303万
ProKidneyPROK1.83%$204万
Arch Capital GroupACGL0.89%$99万

上位4銘柄(StubHub・Blue Owl Capital・Cerebras Systems・SPDR Gold)で資産の71.6%を占めます。MITやハーバードの13Fと比べて銘柄数は多く、比率も分散していますが、内訳を見るとATAI Beckley・Compass Pathwaysという精神疾患治療領域(サイコデリック系創薬)の2銘柄が並んでいたり、StubHub・Chime Financial・Cerebras Systemsという2025〜2026年に上場したばかりの企業が3社連なっていたりと、テーマ性のある小型ポジションの集合という色彩が強い構成です。

03 · CONCENTRATION

保有比率(円グラフ・全11銘柄)

$1.12億
13F資産
StubHub23.78%
Blue Owl Capital20.14%
Cerebras Systems(Put)14.64%
SPDR Gold Trust13.03%
NVIDIA9.50%
iShares Bitcoin Trust6.34%
Chime Financial3.75%
ATAI Beckley3.39%
Compass Pathways2.71%
ProKidney1.83%
Arch Capital Group0.89%

MIT(クーパン69%)やハーバード(SpaceX 51.8%)の円グラフが1銘柄でほぼ埋まるのに対し、ブラウンは上位でも24%止まりで、11銘柄に比較的なだらかに分散しています。それでも「たった$1.12億の開示資産の4分の1近くが、上場直後にまだ評価が定まっていない1銘柄に懸かっている」という点では、集中度の性質は他の2校と変わりません。

04 · THE TRADES

今四半期の動き

新規購入

全売却

主な増減(いずれも株数不変・評価額のみ)

Cerebras Systemsは普通株ではなくプット・オプション(下落方向の権利)として保有されている点に注意してください。同社は2026年5月14日にNasdaqへ「CBRS」で上場したばかりで、初日は+68%という近年まれに見る急騰を演じています。ブラウンがこの直後に普通株ではなくプットを新規に持った理由——値下がりへの直接的なベットなのか、他の保有・出資に対するヘッジなのか——は13Fの開示だけでは分かりません。継続保有銘柄はすべて株数が不変で、動いたのは株価のみ。純増額$979万のうち、StubHubの評価額増加(+$1,367万)だけで純増分を上回り、他銘柄の増減がそれを部分的に打ち消す形になっています。

05 · THE FILER

ブラウン大学 Investment Officeとは

ブラウン大学の基金運用は、大学内の資産運用部門「Investment Office」が担っています。同オフィスは公式サイトで、使命を「学者への奨学支援能力を永続的に維持・慎重に成長させ、ブラウン大学の教育使命を支える」ことと説明し、①高い実質リターンの追求②運用者への誠実性・知的誠実さの要求③バリュー志向・長期複利型の戦略④一流の運用会社との提携⑤同窓生ネットワーク・恒久資本・長期視点という競争優位の活用⑥データドリブンな分析、という6原則を掲げています。

現在のCEOはJoseph L. Dowling氏——2013年から2018年までChief Investment Officer(CIO)を務めた後、2018年前後にCIO/CEOの役割分担が導入され、現職に就いています。

直近(2025年6月30日締めのFY2025)の基金総額は$80億——前年の$72億から+11.9%増加しました。世界最大級のハーバード($569億)やMIT($274億)と比べると規模は一桁小さく、13Fに表れる開示資産($1.12億)も同様に小さいため、StubHubのような1銘柄の値動きがポートフォリオ全体の比率を大きく揺さぶりやすい構造になっています。

06 · THE GAP

13Fで見えているのは、基金全体のごく一部

ここでも強調しておきたいのは、13Fで見えているのはInvestment Officeが運用する基金全体のごく一部でしかない、という点です。13Fの開示対象は米国上場株式・ETF等に限定され、Investment Officeが運用資産の大部分を振り向けているとみられるヘッジファンド・プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル・不動産等のオルタナティブ資産は対象外です。

$1.12億 13Fで開示されている米国上場株式・ETF等(2026年6月30日時点)
$80億 基金総額(直近公表のFY2025・2025年6月30日時点)
約1.4% 単純に割った参考値(基準日が1年ズレている点に注意)

2026年6月30日時点(今回の13Fの基準日)の公式な基金総額はまだ公表されていません(例年10月頃公表)。基準日のズレを踏まえた上での参考値として、13F開示額$1.12億をFY2025時点の基金総額$80億で割ると約1.4%——MIT(2.7%)よりもさらに小さい比率です。基金の大部分は、SECの13F制度が光を当てない場所で運用されていると考えられます。

⚠ 留意点・リスク

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本記事は米SEC(証券取引委員会)に公開提出されたForm 13Fデータ、Brown University Investment Office公式サイト、CNBC等の報道を基に、当サイトが整理した一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。記載内容の正確性には万全を期していますが保証するものではなく、作成時点のものであり今後変更される場合があります。投資に関する最終判断はご自身の責任で行ってください。

出典:SEC EDGAR Form 13F-HR(CIK 0001664741、提出日2026年8月5日)、Brown University Investment Office公式サイト(investment.brown.edu)、CNBC「StubHub slides 6% in NYSE debut after ticket seller's long-awaited IPO」(2026年9月17日)、StubHub Holdings Q1 2026決算発表。