SPECIAL ・ IYO BANK ・ SEC FORM 13F
【特別企画】伊予銀行が買っている米国株 — 「地銀の運用巧者」の13F
編集部・最終更新 2026年8月15日
- 手法
- Form 13F-HRの保有明細をそのまま集計。推定・按分・時価の再計算はしていません(N=32銘柄)
- 一次資料
- SEC EDGAR Form 13F-HR
→ 保有履歴の全データ・銘柄別の売買変化はKUJIRA WATCHで見る
愛媛県の伊予銀行(いよぎんホールディングス傘下)は、経済メディアの取材で「地銀の運用巧者」として繰り返し取り上げられる存在です。国債等債券関係損益で3期連続して地銀の中で突出した1位(2位に20倍以上の差)を記録するなど、市場運用の実績は地銀離れしています。
あまり知られていませんが、同行は米国株の保有規模がSECの基準を超えているため、バフェットらと同じForm 13Fを2022年から四半期ごとに提出し続けています。国内の有価証券報告書では「純投資」の個別銘柄は開示されないため、その中身が銘柄・株数単位で見えるのはこのSEC開示だけ。日本の地銀で個別株を自前で選んで13Fを出しているのは事実上、伊予銀行だけです(もう1行の群馬銀行は全量ETF)。
数値はSEC EDGARの公開データ(2026年6月30日時点、8月12日提出分)に基づきます。
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13F報告資産
$329.5M
約493億円相当・前期比+17.2%
保有銘柄数
32銘柄
個別株中心+セクターETF 1本
提出日
2026/8/12
対象:2026年Q2(6/30時点)
提出実績
19四半期連続
2022年1月提出分から継続
Evidence Card
この記事の検証条件を1か所にまとめました。再検証・引用にどうぞ。
- 対象
- Iyo Bank, Ltd.(伊予銀行、CIK 0001890435)の米国株保有全銘柄
- 期間
- 2026年Q2(2026年6月30日時点、8月12日提出)
- 手法
- Form 13F-HRの保有明細をそのまま集計。推定・按分・時価の再計算はしていません(N=32銘柄)
- 更新トリガー
- 四半期ごと(提出期限は四半期末から45日)。2022年1月提出分から19四半期連続提出
- ID
- IVYXON Evidence #0009
- 最終更新
- 2026年8月15日
- 作成者
- IVYXON
- レビュー状況
- 編集部確認
保有銘柄 TOP10(評価額順)
| 銘柄 | ティッカー | 比率 | 評価額 |
| Alphabet (Class A) | GOOGL | 13.0% | $42.8M |
| Microsoft | MSFT | 8.7% | $28.8M |
| Apple | AAPL | 7.4% | $24.4M |
| NVIDIA | NVDA | 5.2% | $17.2M |
| Micron Technology | MU | 5.0% | $16.5M |
| Prologis | PLD | 4.0% | $13.3M |
| Alphabet (Class C) | GOOG | 3.8% | $12.5M |
| Visa | V | 3.6% | $11.7M |
| Amazon.com | AMZN | 3.5% | $11.5M |
| Walmart | WMT | 3.3% | $10.9M |
前期TOP10だったWalt Disneyは11位以下へ後退し、代わってMicron Technologyが新たにTOP10入り。このほかEli Lilly、Keysight Technologies、Rockwell Automation、Texas Instrumentsなどの個別株を保有し、セクター別SPDR ETFはエネルギー1本を残すのみとなりました(前期は4本)。メガテックを軸に、物流REIT・生活必需品・産業機械へ広げた「王道の分散」で、ETFに丸投げせず個別株を自前で選んでいるのが地銀として際立った特徴です。評価額の単位は百万ドル($M)。
ETFに丸投げせず個別株を自前で選んでいるのが地銀として際立った特徴です。
保有銘柄TOP10より
保有比率(円グラフ・上位8銘柄)
FIG. 01 — 保有比率(上位8銘柄+その他)
Alphabet A12.99%
Microsoft8.74%
Apple7.41%
NVIDIA5.22%
Micron5.01%
Prologis4.05%
Alphabet C3.79%
Visa3.56%
その他24銘柄49.24%
13F報告資産の推移 — 2022年に守り、その後回復
| 時点 | 報告資産 | メモ |
| 2021年Q4(初回提出) | $328M | 提出開始 |
| 2022年Q4 | $170M | 米株安・金利急騰の年に大きく圧縮 |
| 2023年Q4 | $211M | 再構築 |
| 2024年Q4 | $292M | 回復 |
| 2025年Q1 | $311M | 直近ピーク圏 |
| 2026年Q1 | $281M | やや縮小 |
| 2026年Q2(最新) | $329.5M | 前期比+17.2%で回復 |
下落年の2022年に残高を半分近くまで落とし、その後に積み直している推移は、同行が取材記事で語る「相場観に基づいて機動的に動かす」運用スタイルと整合的です。
なぜこの一覧はここでしか見られないのか
いよぎんホールディングスの有価証券報告書(2026年6月提出)によれば、銀行の株式保有は「政策保有(取引関係目的)」が上場136銘柄・約3,282億円、「純投資」が上場49銘柄・約551億円。このうち個別銘柄が開示されるのは政策保有の上位60銘柄(ユニ・チャーム、住友林業、第一三共など)だけで、運用の腕が問われる純投資側は銘柄数と合計額しか開示されません。
ところが米国株については、保有額がSECの基準(1億ドル)を超えるため、Form 13Fとして全銘柄・株数が四半期ごとに公開されます。本ページの32銘柄・約3.3億ドル(約493億円)は、national開示では見えない純投資ポートフォリオの推定7〜8割に相当します。「日本の開示では見えないが、米国の開示では丸見え」という制度の隙間を利用した企画です。
「日本の開示では見えないが、米国の開示では丸見え」という制度の隙間を利用した企画です。
国内開示とSEC開示の差より
ちなみに日本からは農林中央金庫・大手生保・メガバンク・商社系など50超の機関が13Fを提出していますが、その多くはETF中心か戦略出資の報告です。地銀で、しかも個別株を自前で選んで提出しているのは伊予銀行がほぼ唯一の存在です。
⚠ 留意点・リスク
- Form 13Fは四半期末から最大45日遅れで提出される公開情報です。表示内容は提出時点の「過去のスナップショット」であり、現在の実際の保有状況とは異なる場合があります。
- この13Fは同行の運用のごく一部(米国上場株のみ)です。「運用巧者」の評判の主戦場である外債・国内債券・国内株式・投資信託等は13Fには一切現れません。米国株の巧拙だけで同行の運用力を評価することはできません。
- 銀行の有価証券運用は自己資本規制・ALM(資産負債管理)の制約下で行われており、個人投資家の運用とは前提が異なります。
- 本ページは米SEC EDGARおよびEDINETの公開開示書類を基にした事実の紹介であり、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。伊予銀行・いよぎんホールディングスとの間に提携・出資関係はありません。
- 投資に関する最終判断はご自身の責任で行ってください。
FAQ
Q. なぜ日本の地方銀行がSECにForm 13Fを提出しているのですか?
Form 13Fは国籍を問わず「米国上場株式等を1億ドル超保有する機関投資家」に提出義務があるためです。伊予銀行は2022年1月提出分(2021年12月末時点)から四半期ごとに提出を続けており、日本の地方銀行では極めて珍しい存在です。
Q. 伊予銀行が「運用巧者」と呼ばれるのはなぜですか?
経済メディアの取材記事によれば、国債等債券関係損益で3期連続して地方銀行の中で突出した1位を記録するなど、市場運用の実績が際立っているためです。本ページで見られる米国株ポートフォリオは、その運用の一部(純投資の米国株部分)にあたります。
Q. この保有銘柄は国内の開示資料でも見られますか?
見られません。有価証券報告書で個別開示されるのは政策保有株式(取引関係等を目的とする保有)で、純投資目的の株式は銘柄数と金額の合計しか開示されません。米国株の個別銘柄・株数が見えるのはSECのForm 13Fだけです。
本記事は米SEC(証券取引委員会)EDGARおよびEDINETに公開提出された開示書類、ならびに報道各社の公開記事を基に、当サイトが整理した一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。記載内容の正確性には万全を期していますが保証するものではなく、作成時点のものであり今後変更される場合があります。当サイトは伊予銀行・いよぎんホールディングスと資本・提携関係にありません。投資に関する最終判断はご自身の責任で行ってください。
出典:SEC EDGAR Form 13F-HR(Iyo Bank, Ltd.・CIK 0001890435、提出日2026年8月12日)、いよぎんホールディングス有価証券報告書(EDINET・2026年6月提出)、ダイヤモンド・オンライン(2024年7月・12月)、日本経済新聞(2025年2月)の取材記事。