HARVARD MANAGEMENT CO ・ SEC FORM 13F
ハーバード大学基金の保有銘柄一覧 — SpaceX株$22.1億は、非公開時代からの保有だった
編集部・最終更新 2026年8月18日
- 手法
- Form 13F-HRの保有明細をそのまま集計。推定・按分・時価の再計算はしていません(N=19銘柄)
- 一次資料
- SEC EDGAR Form 13F-HR
→ 保有履歴の全データ・銘柄別の売買変化はKUJIRA WATCHで見る
ハーバード大学の基金運用を担うHarvard Management Co(HMC)が米SECに提出した最新のForm 13Fで、保有資産の51.8%を単一銘柄が占めていることが判明しました。SpaceX(Space Exploration Technologies)です。同社は2026年6月12日に上場するまで非公開企業だったため、この保有は一度も四半期開示に現れたことがありませんでした。株数から見て上場前から積み上げていたとみられる保有が、IPOという「開示の扉」が開いた瞬間に一気に姿を現した形です。
この四半期の要点:新規取得はSpaceX($22.1億)を筆頭に、AIチップのCerebras Systems($2.39億)、iShares Gold Trust($1.50億)、Netflix($0.79億)、地熱発電のFervo Energy($0.37億)、Lumentumの計6銘柄。iShares Gold Trustの新規計上と同時にSPDR Gold Trustを$1.49億減らしており、金というアセットクラスへの投資は維持したままETFを乗り換えたとみられます。全売却はUnion Pacific(前期$1.54億)の1銘柄のみ。保有総額は前期の$18.2億から+135%の$42.6億へ拡大しましたが、この急増のほぼ全てはSpaceX単体の新規計上によるものです。
数値はSEC EDGARの公開データ(2026年6月30日時点、8月14日提出分)に基づきます。
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保有銘柄数
19銘柄
上位1銘柄(SpaceX)で51.8%
提出日
2026/8/14
対象:2026年Q2(6/30時点)
次回更新目安
2026年11月中旬
Q3 2026分の提出後
Evidence Card
この記事の検証条件を1か所にまとめました。再検証・引用にどうぞ。
- 対象
- Harvard Management Co Inc(CIK 0001082621)の米国株保有全銘柄
- 期間
- 2026年Q2(2026年6月30日時点、8月14日提出)
- 手法
- Form 13F-HRの保有明細をそのまま集計。推定・按分・時価の再計算はしていません(N=19銘柄)
- 更新トリガー
- 四半期ごと(提出期限は四半期末から45日)。次回目安2026年11月中旬
- ID
- IVYXON Evidence #0017
- 最終更新
- 2026年8月18日
- 作成者
- IVYXON
- レビュー状況
- 編集部確認
01 · THE REVEAL
非公開時代の保有は、なぜ今まで見えなかったのか
SpaceXは2026年6月12日、Nasdaqに「SPCX」のティッカーで上場しました。売り出し株数5億5,555万5,555株、公開価格は1株$135、調達額は約$750億——史上最大級のIPOの一つです。初日は寄り付きで+11%の$150、終値は+19%の$160.95まで買われ、CNBCは終値時点の時価総額が$2兆を突破したと報じました(IPO評価額そのものは報道により$1.5兆〜$1.8兆程度と幅があります)。
HMCは2026年6月30日時点で1,293万5,100株、評価額にして$22.1億のSpaceX株を保有していたことが、8月14日の13F提出で判明しました。この比率はHMCの13F開示ポートフォリオ全体($42.6億)の51.8%——単一銘柄として突出した規模です。これは「ハーバードがSpaceX社そのものの過半数を握っている」という意味ではなく、あくまでHMCの13F開示分の中でSpaceXが占める比率である点に注意してください。
注目すべきは、この保有が「新規の投資判断」ではなく「これまで見えなかっただけ」だという点です。Harvard Crimson紙(2026年8月15日付、記者Megan L. Blonigen)は次のように説明しています。
「SpaceXは6月まで非公開企業だったため、これらの株式は以前ならHMCの四半期開示に一度も現れなかったはずだ」
— Harvard Crimson, "Harvard Discloses $2.2 Billion SpaceX Stake After Record IPO"(2026年8月15日)
13Fの開示対象は米国上場株式・ETF等に限定され、非公開企業の株式は対象外です。つまりHMCはIPO以前から——おそらく複数年にわたって——このポジションを積み上げていたと考えられますが、それは一切公開情報として見えなかったということです。IPOという「開示の扉」が開いた瞬間に、蓄積されていた保有が一気に姿を現しました。
HMC広報のPatrick McKiernan氏はBloomberg(Fortune転載版で本文確認)の取材に対し、個別の投資については「コメントを控える」と述べています。同記事はまた、開示された保有には直接保有分に加えプライベートファンドからの現物分配(in-kind distribution)が含まれている可能性があり、この形では過去に報告されていなかった可能性がある、とも指摘しています——非公開だったことに加え、保有の"形式"自体も開示のタイミングに影響した可能性があるということです。
同様の開示は、ハーバードだけではありませんでした。サウジアラビアの政府系ファンド(PIF)、Alphabet・NVIDIAといったハイテク大手の戦略出資、Fidelity(FMR)・BlackRock・Baillie Gifford・Baron Capitalといった大手運用会社、カナダのオンタリオ州教員年金基金、そしてカリフォルニア大学(約$10億相当)・ノースカロライナ大学・セントルイス・ワシントン大学といった他の大学基金も、同じタイミングでSpaceX保有が一斉に可視化されています。
02 · TOP HOLDINGS
保有銘柄 TOP10(ポートフォリオ比率順)
| 銘柄 | ティッカー | 比率 | 評価額 |
| SpaceX | SPCX | 51.84% | $22.1億 |
| Taiwan Semiconductor (TSMC) | TSM | 8.20% | $3.50億 |
| Cerebras Systems | CBRS | 5.61% | $2.39億 |
| Amazon | AMZN | 5.49% | $2.34億 |
| Alphabet | GOOGL | 3.87% | $1.65億 |
| NVIDIA | NVDA | 3.70% | $1.58億 |
| iShares Gold Trust | IAU | 3.51% | $1.50億 |
| Microsoft | MSFT | 3.43% | $1.46億 |
| Broadcom | AVGO | 3.00% | $1.28億 |
| Meta Platforms | META | 2.83% | $1.21億 |
TOP10で資産の91.5%を占めます。11位以下はiShares Bitcoin Trust ETF(2.38%)・Netflix(1.85%)・Booking Holdings(1.73%)と続き、19銘柄中17銘柄はハイテク・AI関連が中心です。
03 · CONCENTRATION
保有比率(円グラフ・上位8銘柄)
SpaceX51.84%
TSMC8.20%
Cerebras Systems5.61%
Amazon5.49%
Alphabet3.87%
NVIDIA3.70%
iShares Gold Trust3.51%
Microsoft3.43%
その他11銘柄14.35%
SpaceX1銘柄で円グラフの半分以上を占めます。バフェット(Apple 22.0%)やアックマンのような通常の「集中投資」とは性質が異なり、今回はIPOという単発イベントによって一時的にこの比率まで押し上げられた点に留意してください。
04 · THE TRADES
今四半期の動き
新規購入
- SpaceX(SPCX)新規 $22.1億(51.84%・非公開時代からの保有がIPOで開示)
- Cerebras Systems(CBRS)新規 $2.39億(5.61%)
- iShares Gold Trust(IAU)新規 $1.50億(3.51%)
- Netflix(NFLX)新規 $0.79億(1.85%)
- Fervo Energy(FRVO)新規 $0.37億(0.86%)
- Lumentum(LITE)新規 $0.23億(0.55%)
全売却
- Union Pacific(UNP)全売却(前期$1.54億)
主な増減
- SPDR Gold Trust(GLD)−$1.49億(iShares Gold Trustの新規計上とほぼ同額)
- Amazon株数+37%
- Booking Holdings株数+1087%(金額は$0.74億と小口)
- Alphabet株数−25%
- Broadcom株数−29%
- Microsoft株数−24%
SPDR Gold Trustの減少(−$1.49億)とiShares Gold Trustの新規計上(+$1.50億)はほぼ同額——金というアセットクラスへのエクスポージャーは維持したまま、投資ビークルを乗り換えたとみられます。純増額は$24.1億(買$29.1億・売$4.98億)ですが、そのほぼ全てはSpaceX単体(+$22.1億)によるもので、それ以外の銘柄の動きは比較的小粒でした。
05 · THE FILER
ハーバード大学基金運用会社(HMC)とは
Harvard Management Company(HMC)は1974年、ハーバード大学の基金・年金資産等を一括運用するために設立された、大学が全額出資する別法人です(Harvard Crimsonの歴史記事は前身となる設立提案が1973年10月になされたと伝えていますが、HMC公式サイト自身は1974年設立としています)。14,000超の個別ファンドから成る大学の資産をまとめて運用しており、2026年8月時点のCEOはN.P.(Narv)Narvekar氏——2016年12月の就任です。同氏は2026年5月、理事会に「早ければ2027年秋の退任」の意向を伝えたとHarvard Crimsonが報じており、後任探しが進行中とみられます。
HMCの運用哲学はしばしば「ハーバード・モデル」と呼ばれることがありますが、これは金融報道・学術文献における標準的な呼称ではありません。標準的に定着しているのは、イェール大学のDavid Swensen氏が1980年代に確立した「イェール・モデル」——株式・債券という伝統的資産に偏らず、プライベートエクイティ・ヘッジファンド・不動産・天然資源等のオルタナティブ資産へ広く分散する手法です。ハーバードの運用は、この「イェール・モデルに類似したアプローチ」と説明されるのが一般的です。ハーバード側では、1990年から2005年まで基金運用トップを務めたJack Meyer氏の下で基金規模が$47億から$226億へ拡大し、退任前10年間の平均年率リターンは約15%に達したことが知られています。
直近(2025年6月30日締めのFY2025)の基金総額は$569億——世界最大の大学基金です。前年の$532億から+11.9%増加した一方、大学全体としては同年度$1.13億の営業赤字を計上しています。運用成績は同業の他大学とも比較され、FY2025はハーバード+11.9%・イェール+11.1%・スタンフォード+14.3%——ハーバードはイェールをわずかに上回りましたが、スタンフォードには届いていません(いずれもFY2025ベースで、13Fの基準日であるFY2026 Q4末とは会計期間が異なります)。
06 · THE GAP
13Fで見えているのは、基金全体のごく一部
ここで強調しておきたいのは、13Fで見えているのはHMCが運用する基金全体のごく一部でしかない、という点です。13Fの開示対象は米国上場株式・ETF等に限定され、HMCが運用資産の大半を振り向けているプライベートエクイティ(41%)やヘッジファンド(31%)——合わせて資産の72%——は対象外です(この資産配分の内訳はHMC自身の一次資料ではなく、Reuters配信記事等の報道に基づく数値です)。
$42.6億
13Fで開示されている米国上場株式・ETF等(2026年6月30日時点)
$569億
基金総額(直近公表のFY2025・2025年6月30日時点。FY2026分は未公表)
約7.5%
単純に割った参考値(基準日が1年ズレている点に注意)
2026年6月30日時点(今回の13Fの基準日)の公式な基金総額はまだ公表されていません(例年10月頃公表)。基準日のズレを踏まえた上での参考値として、13F開示額$42.6億をFY2025時点の基金総額$569億で割ると約7.5%です。さらに言えば、FY2025時点の資産配分で「パブリックエクイティ」に分類される14%だけでも$569億×14%≈$80億——13Fで開示されている$42.6億を上回ります(ただし両者は厳密に同一の分類ではなく、13Fは投資裁量のある米国上場証券等に限定される点に注意が必要です)。基金の大部分は、SECの13F制度が光を当てられない場所で運用されているということです。
⚠ 留意点・リスク
- 保有比率51.84%はSpaceX社そのものへの出資比率ではありません。HMCの13F開示ポートフォリオ($42.6億)に占めるSpaceX株の比率であり、SpaceX社の発行済株式全体に占める比率とは別の数字です。
- 13F報告総額($42.6億、2026年6月30日時点)と基金総額($569億)は基準日が1年ズレています(2026-06-30 vs 2025-06-30)。「基金の約7.5%」という数字は参考値であり、同時点同士の厳密な比較ではありません。
- 資産配分の内訳(プライベートエクイティ41%・ヘッジファンド31%等)は、HMC自身が公開する一次資料ではなく、Reuters配信記事等の報道に基づく数値です。HMC・ハーバード大学財務部門の公式年次報告PDFへの直接アクセスができなかったため、確度は「中」として扱ってください。
- SpaceXのIPO評価額は報道により$1.5兆〜$1.8兆超まで幅があります。いずれの数字を使うかで印象が変わるため、時点・定義(募集価格ベースか初日終値時点の時価総額か)を確認してください。
- Narvekar氏の退任時期は「早ければ2027年秋」という報道段階の情報で、確定した退任日ではありません。
- Form 13Fは四半期末から最大45日遅れで提出される公開情報です。ここに表示されている内容は提出時点の「過去のスナップショット」であり、現在の実際の保有状況とは異なる場合があります。
- 13Fの開示対象は米国上場株式・ETF・一部オプション等に限定されます。非公開企業の株式、空売りポジション、現金、債券、非米国上場資産は含まれないため、実際のポートフォリオ全体を表すものではありません。
- 本ページは米SEC EDGARの公開規制当局提出書類および大手報道を基にした事実の紹介であり、特定銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。「著名な基金が買った(売った)から」という理由だけで投資判断を行うことは推奨されません。
- 投資に関する最終判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は米SEC(証券取引委員会)に公開提出されたForm 13Fデータ、Harvard Management Co公式サイト、Harvard Crimson・Bloomberg(Fortune転載版)等の報道を基に、当サイトが整理した一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の購入・売却を推奨・勧誘するものではありません。記載内容の正確性には万全を期していますが保証するものではなく、作成時点のものであり今後変更される場合があります。投資に関する最終判断はご自身の責任で行ってください。
出典:SEC EDGAR Form 13F-HR(CIK 0001082621、提出日2026年8月14日)、Harvard Management Co公式サイト(hmc.harvard.edu)、Harvard Crimson「Harvard Discloses $2.2 Billion SpaceX Stake After Record IPO」(2026年8月15日)、Bloomberg「Harvard fund discloses $2.2 billion stake in Musk's SpaceX」(Fortune転載、2026年8月15日)。