IVYXON投資の考え方 > 気配が出るのは何時か
INVESTMENT STRATEGY ・ 投資の考え方 第33号

気配が出るのは朝8時。ただし値段が動き出すのは9時ちょうどで、1日の値動きの4割はその一瞬で終わっていた

寄り付き前の板を見る、という習慣には2つの前提があります。8時に出てくるものが「値段」だという前提と、その1時間を見ることに意味があるという前提です。前者は東証の一次資料で確定できます。後者は測れます。

制度の側は、東証が公表している3つの値幅表(制限値幅・特別気配の更新値幅・呼値の単位)を突き合わせて計算しました。裁量は入っていません。実測の側は、日経225採用銘柄の2005年1月から2026年7月まで1,135,683銘柄日について、1日の値動きを「前日終値から始値まで」と「始値から終値まで」に分解しています(2026年8月3日時点・当サイト実測、編集部構成)。

判定
勝負は一瞬

気配が出るのは前場8時・後場0時5分。ただしそこに出るのは「寄前気配」で、3分ごとに切り上がる「特別気配」は立会時間に入る9時から。ストップ高の値段まで気配だけで到達するのは15〜27分で、株価が600倍違ってもほぼ変わりません(66.2%の値段が27分)。下は非対称で、ストップ安側は最大54分、遅くなる値段が81.7%あるのに対し逆は0%です。そして肝心の1時間の価値ですが、1日の値幅に占める寄り付きの割合は中央値42.8%、分散では42.4%、直近(2024年11月以降)は53.8%と過半を超えました。

寄前気配
8:00 / 12:05
注文受付の開始と同時。約定はしない
特別気配の更新
3分ごと
立会時間中=9:00以降
ストップ値段まで
15〜27分
上方向。29,951価格を掃引・下は最大54分
1日の値動きに占める寄り
42.8%
分散では42.4%・直近は53.8%
01 · THE MORNING SEQUENCE

朝、値段の手がかりが出てくる順番

まず制度を確定させます。東証の1日は、立会時間(実際に売買が成立する時間)と注文受付時間の2階建てになっていて、この2つはずれています。

出典:日本取引所グループ「売買立会時(立会時間)」「売買成立の方法」、東証公式株式サポーター。立会時間の15時30分までの延長とクロージング・オークションの導入は2024年11月5日から。

見落とされやすいのは11時30分から12時5分までの35分間です。前引けの直後、板は凍ります。この間は新しい注文を出すことも、出してある注文を取り消すこともできません。前場の引け際に出した注文は、後場が始まるまで動かせないということです。

02 · THE 8AM MIRAGE

8時に見えているのは「寄前気配」で、始値ではない

8時に出てくるものの正体は、東証の言葉で寄前気配といいます。中身は東証自身が定義しています——売り注文の累計数量と買い注文の累計数量が逆転する値段(つまり始値が決定する可能性が高い値段)と、その値段における累計数量、それより高い売り指値と安い買い指値をそれぞれ9本、および成行注文の数量です。前場は午前8時から、後場は午後0時5分から提供され、プレ・クロージング中も同じ情報が出ます。

ここで重要なのは、8時から9時までの間、東証は注文を受け付けているだけで売買を行っていないという点です。売り注文と買い注文はさまざまな値段で交錯したまま積み上がり、9時になって初めて「板寄せ方式」で1つの値段に収束します。つまり8時台に見えている値段は「いま板寄せをしたらこうなる」という見込みであって、確定した値段ではありません。

この点について東証は、そのものずばりの注意を書いています。寄り付き前はたくさんの注文が時々刻々と発注されるので寄前気配も大きく変化する、したがって少し前に見た寄前気配をもとに発注しても、注文を出す際には売り買いの注文状況が大きく変わっている可能性がある、と。小高く始まると思って売り成行注文を出したら、その後の注文状況の変化で逆に安く始値が成立することもある、という例まで添えられています。

「特別気配」は8時台には出ない

もう1つ、寄前気配と混同されやすいものに特別気配があります。売り買いが大きく偏って即座に売買を成立させられないときに東証が表示する気配で、こちらは3分ごとに切り上がっていきます。混同されやすいのですが、東証の説明では特別気配は「立会時間中であれば始値決定前でもザラバ中でも表示され」るものです。立会時間は9時から11時30分と12時30分から15時30分なので、8時から9時は立会時間に含まれません

この読みは実際の配信でも裏が取れます。取引所のフィードを直接受けている市場情報ベンダーの配信種別を見ると、8時台に流れるのは「寄前の板状況」「寄前の成行注文」といった板の集計であり、「特別気配」を名乗る速報は9時を過ぎてから出ています。8時台の板に見えている偏りは、東証が主体的に動かしている気配ではなく、積み上がった注文をそのまま映したものだということです。

なお東証の業務規程施行規則そのものは参照できていません(規則集サイトが当方の環境から名前解決できませんでした)。上記は東証の公式解説2点と、実際の配信時刻の一致による判断であって、条文の引用ではありません。

03 · THE 3-MINUTE CLOCK

9時に寄らないと何が起きるか——特別気配と3分

9時の板寄せで売買が成立しない場合——たとえば買い成行が大量に入っていて売り注文が足りない場合——始値は決まりません。板寄せでは成行注文がすべて成立しなければ値段が決まらないためです。このとき東証は、基準値段から更新値幅だけ離れた値段に特別気配を表示して、反対側の注文を呼び込みます。

それでも反対注文が来なければ、3分間隔で特別気配を更新値幅ぶんずつ動かし、売買が成立する値段に近づけていきます。この更新値幅は直前の価格または気配値段を基準に決まるため、気配が動くと刻み幅も変わります。

気配値段更新値幅気配値段更新値幅気配値段更新値幅
200円未満5円1,500円未満30円7,000円未満100円
500円未満8円2,000円未満40円10,000円未満150円
700円未満10円3,000円未満50円15,000円未満300円
1,000円未満15円5,000円未満70円20,000円未満400円

特別気配の更新値幅(抜粋)。出典:日本取引所グループ。実際の表は5,000万円以上まで続きます。

更新が途中で止まって見えることがありますが、これも規則どおりです。特別気配を出すもとになっている注文が指値注文の場合、その指値より優先する値段には気配を更新できません。995円の買い指値に対して1,010円の買特別気配を出すことはない、ということです。

基準値段は前日終値とは限らない

ここで1つ、実務的な罠があります。制限値幅も更新値幅も基準値段を起点に決まりますが、基準値段は必ずしも前日の終値ではありません。ザラバで売買が成立したあとに注文が殺到し、特別気配が表示された状態のまま大引けを迎えて約定しなかった場合、最後に成立した値段ではなく大引け時点の特別気配が翌日の基準値段になります。新聞に載っている終値からストップ高を計算すると実際と合わないことがあるのは、主にこれが理由です。

04 · THE UPPER LIMIT

ストップ値段まで15〜27分。株価が600倍違っても変わらない

ここまでの規則は、すべて公表された数表と手続きです。ということは「気配だけでストップ値段まで行くのに何分かかるか」は計算で出せます。制限値幅の表からストップ値段を求め、更新値幅の表に従って気配を1段ずつ動かし、到達するまでの段数を数えるだけです。単純な割り算にならないのは、気配が動くと更新値幅も切り替わるからです。

基準値段50円から30,000円までを1円刻みで29,951通り計算しました。

段数所要時間該当する値段の数割合
6段15分3801.3%
7段18分4501.5%
8段21分3,19010.7%
9段24分6,09520.3%
10段27分19,83666.2%

ストップ高方向。1段目は気配が表示された瞬間なので経過時間ゼロ、以後3分ごとに数えています。

結果は6段から10段、15分から27分の範囲に完全に収まりました。しかも3分の2の値段が10段=27分です。株価が600倍違っても、所要時間の幅は12分しかありません——50円の株が15分、25,000円の株が27分で、どちらも30分とかからずに上限へ着きます。

株価が600倍違っても、所要時間の幅は12分しかありません

ストップ高気配の所要時間計算より

これは偶然ではありません。東証が制限値幅と更新値幅の比をおおむね10前後に保つように2つの表を作っているからです。実際、呼値の単位(値段の刻み)まで含めて確かめると、更新値幅は29,951の価格すべてで呼値の単位の整数倍になっていました(違反0件)。3つの表は、互いに刻めない値段が生じないように設計されています。

基準値段制限値幅ストップ高上までストップ安下まで
150円50円200円10段 27分100円10段 27分
800円150円950円10段 27分650円12段 33分
1,200円300円1,500円10段 27分900円13段 36分
2,500円500円3,000円10段 27分2,000円10段 27分
9,500円1,500円11,000円7段 18分8,000円10段 27分
18,000円4,000円22,000円9段 24分14,000円11段 30分

代表的な値段での内訳。所要時間は「気配が動き出してから」であって、9時に特別気配が出た銘柄なら9時15分〜9時27分ごろに上限へ到達する計算になります。

日経225採用銘柄の直近株価で重み付けすると、上方向は中央値27分(18〜27分)でした。

05 · THE ASYMMETRY

下は上より遅い。最悪は1,005円の54分

同じ計算をストップ安の方向で回すと、絵が変わります。

方向段数の幅所要時間最頻値その割合
ストップ高へ6〜10段15〜27分10段=27分66.2%
ストップ安へ6〜19段15〜54分10段=27分49.6%

最頻値は同じ27分なのに、裾が2倍に伸びます。値段ごとに上下を突き合わせると、この非対称は徹底しています——ストップ安のほうが時間がかかる値段が81.7%、同じが18.3%、そしてストップ高のほうが時間がかかる値段は0%でした。1つもありません。

ストップ安のほうが時間がかかる値段が81.7%、ストップ高のほうが時間がかかる値段は0%。1つもありません。

ストップ高・ストップ安の非対称性より

理由は更新値幅の決まり方にあります。更新値幅は「気配値段」を基準に決まるので、気配が下がっていくと刻みも小さくなるのです。上に行くときは刻みが大きくなって加速し、下に行くときは刻みが小さくなって減速します。

いちばん極端なのが基準値段1,005円前後です。制限値幅は300円(1,000円以上1,500円未満)なのでストップ安は705円ですが、気配が1,000円を割った瞬間に更新値幅が30円から15円へ半減します。結果、705円に届くまで19段=54分かかります。制限値幅が同じ300円の1,200円の株が13段=36分なので、基準値段が195円違うだけで18分の差がつく計算です。

日経225の直近株価で重み付けすると、下方向は中央値30分(27〜42分)、225銘柄のうち174銘柄で下のほうが遅いという結果でした。

06 · THE MEASUREMENT

その1時間に何が懸かっているか——1日の値動きの42.8%

制度が分かったところで、本題です。8時から板を見ることに、どれだけの意味があるのか。

1日の値動きを2つに分けて測りました。前日終値から始値まで(9時ちょうどの板寄せで一瞬のうちに起きる分)と、始値から終値まで(9時以降のザラバで起きる分)です。母集団は日経225採用銘柄、期間は2005年1月4日から2026年7月31日、観測は1,135,683銘柄日です。権利落ち日は東証と同じく基準値段から配当を落として計算し、株式分割日(252日)、出来高ゼロの日(11,652日)、制限値幅を超える変動が記録された日(23日)は除いています。

指標読み方
寄り付きの変動幅(中央値)0.63%前日終値→始値の絶対値
ザラバの変動幅(中央値)0.86%始値→終値の絶対値。5時間半かけてこれ
1日の値幅に占める寄りの割合42.8%中央値。始値=終値の日を除くと41.3%
日次リターンの分散に占める割合42.4%同40.9%
寄りのほうが日中より大きく動いた日41.5%5日に2日
その日の方向を寄りが当てた割合64.2%始値の符号と終値の符号の一致率
始値がストップ値段だった頻度1.22日1万営業日あたり。日経225なので稀

要点は2つです。第一に、一瞬で起きる変動が、立会時間まるごと(現在は5時間半)かけて起きる変動の73%に相当すること。第二に、その日の方向は3日に2日、9時の時点で決まっていることです。

この比率は時代とともに上がっている

期間銘柄日寄りの変動幅ザラバの変動幅値幅に占める割合分散寄与方向の一致
2005-2009251,0460.50%0.97%35.1%32.5%54.8%
2010-2015312,1920.69%0.87%44.3%45.2%65.1%
2016-2020267,7270.65%0.81%44.8%47.0%67.6%
2021-2024/11209,3840.64%0.81%43.9%44.2%68.2%
2024/11-(15:30まで)95,3340.66%0.90%42.3%53.8%67.1%

区切りは売買システム arrowhead の稼働(2010年1月4日)と、立会時間の15時30分への延長(2024年11月5日)。

2005年から2009年は、寄りの変動幅がザラバの半分程度で、方向の一致率も54.8%とコイン投げに近い水準でした。ここから先は一貫して寄りに寄っています。ザラバの変動幅は0.97%から0.81%へ縮み、寄りの変動幅は0.50%から0.66%へ広がりました。分散に占める寄りの割合は32.5%から、直近では53.8%と過半です。方向の一致率も54.8%から67%台へ上がっています。

日中の値動きが縮んで一晩の値動きが広がる、という形は、日本市場が外部——とりわけ前夜の米国市場——に連動する度合いが上がったことと整合します。当サイトが朝の相場見通しを測ったときにも、的中している部分は「前夜の米国株を写しているだけ」の部分だという結果が出ました。

暴落の日はさらに極端になる

2024年8月5日、日経平均は歴代2位の下落率を記録しました。この日の日経225採用224銘柄を見ると、中央値で寄り付きに▲5.39%、ザラバで▲6.52%——その日の下げの41.9%は9時の一瞬で終わっていました。個別に降りるとさらに極端で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は始値が前日終値比▲18.47%、そこから終値まではむしろ+0.77%です。下げは全部9時に起きて、ザラバは何もしていません。

下げは全部9時に起きて、ザラバは何もしていません。

2024年8月5日の暴落実測より
07 · THE OVERNIGHT EFFECT

21年半の値上がりは、寄り付きの一瞬に集中していた

変動幅を分けたところで、リターンそのものも同じように分けられます。「前日終値から始値まで」だけを21年半ぶん積み上げたものと、「始値から終値まで」だけを積み上げたものです。

累積(225銘柄の中央値)プラスだった銘柄
前日終値 → 始値(一晩)+2,770%224 / 225
始値 → 終値(ザラバ)▲81.1%26 / 225
合計(前日終値 → 終値)+409.7%

2005年1月4日〜2026年7月31日。配当は権利落ち日に一晩の脚へ乗ります(後述の検証で影響を測定済み)。

225銘柄のうち223銘柄で、一晩の累積がザラバの累積を上回りました。中央値の累積を21.57年で年率に直すと、一晩が+16.8%、ザラバが▲7.4%、合計が+7.8%です。年別に見ると、一晩がザラバに負けた年は22年のうち0年でした。

一晩がザラバに負けた年は22年のうち0年でした。

一晩とザラバの21年分解より

これは海外の研究が報告してきた構図と同じです。米国株では株式のリスクプレミアムがほぼすべて時間外に発生し、日中は平均するとゼロかマイナスだという結果が繰り返し出ています。日本株について同じ分解をすると、同じ形が、さらに強く出ました。

ただしこれは売買ルールではありません。「前日の引けで買って翌日の寄りで売る」を年245往復すれば、手数料とスプレッドが先に効きます。上の数字はコストを1円も引いていません。これはリターンがどの時間帯に発生しているかの分解であって、そこを取りに行けるという主張ではありません。当サイトは別の記事で、実行できない建て方の仮定が結果を作っていた例を扱っています。

08 · STRESS-TESTING THE RESULT

結果を疑う

1. 指数でも同じことが起きるか

225銘柄を合成した結果なので、独立した系列で確かめました。日経平均(^N225)は一晩+949.7%・ザラバ▲46.8%、TOPIX連動ETFの1305は一晩+966.7%・ザラバ▲64.6%で、いずれも同じ向きです。なお1306は一晩+32.2%と壊れた値を返しますが、これは既知の系列破損(受益権分割の未反映)で、当サイトはベンチマークに1305を使っています。

2. 配当の付け方が作っていないか

権利落ち日の配当は、東証の基準値段の扱いに合わせて一晩の脚に乗せています。これを外すと一晩の中央値は+2,847%から+1,890%へ縮みますが、符号も大小関係も変わりません。ザラバ側は当然ながら不変です。

3. 特定の時期が作っていないか

5年ごとの4窓すべてで一晩がザラバを上回り、年別でも22年すべてで上回りました。リーマン・ショックの2008年は一晩▲2.6%・ザラバ▲42.7%、コロナの2020年は一晩+9.1%・ザラバ▲8.8%です。

4. 始値そのものが壊れていないか

始値が高値・安値の外側にある日は0件でした。一方で始値と終値が完全に一致する日が全体の4.7%あり、これは値幅に占める寄りの割合を機械的に押し上げます。この比率は2005年の12.98%から2026年の0.77%へ激減しており(呼値の刻みが細かくなったため)、時代比較を歪める可能性があります。そこでこの日を除いた版も併記しました——値幅に占める割合42.8%→41.3%、分散寄与42.4%→40.9%で、結論は動きません。

5. 上場廃止と再上場が混ざっていないか

1件見つけました。日本航空(9201)は2010年2月に上場廃止になったあと、株価データ上は1円のまま660日間凍結され、2012年9月の再上場で1,825円へ飛びます。同じ証券コードが別の会社として使い回された形です。この偽の跳ねは制限値幅の検査で自動的に落ちますが、凍結中の660日は変動ゼロとして残るため中央値を押し下げます。出来高ゼロの日を除く処理でまとめて外しました(全体で11,652日=1.0%)。

なお、制限値幅そのものがこのデータ検査に使えるのは、東証の制限値幅が始値にも効くためです。前日終値から始値までの変動は、制度上、制限値幅を超えられません。超えている日は値動きではなく、分割・併合・権利落ち・値幅拡大・データ異常のいずれかです。

留意点

SOURCES

出典と一次資料

計算コードと中間データは当サイトが保持しています。制度計算(値幅表からの段数導出)はネットワークに依存せず再実行でき、実測とは独立に検証できる構成にしてあります。

FAQ

株の気配値は何時から出ますか?

東京証券取引所の寄前気配は、前場が午前8時から、後場が午後0時5分から出ます。これは東証が証券会社からの注文を受け付け始める時刻と同じです。出てくる情報は、売り注文と買い注文の累計数量が逆転する値段(=始値が決定する可能性が高い値段)と、その値段での売り買いそれぞれの累計数量、それより高い売り指値と安い買い指値をそれぞれ9本、および成行注文の数量です。大引け前のプレ・クロージング(午後3時25分から午後3時30分まで)でも同じ形式の情報が出ます。なお午前11時30分の前引けから午後0時5分までの35分間は注文の受付そのものが止まっており、この間は新規の発注も取消もできません。

特別気配は何分ごとに更新されますか?

3分間隔です。特別気配が表示されたあと、反対側の注文が入ってこないでその値段で売買が成立しない場合、東証は3分ごとに気配を更新値幅ぶんずつ動かして、売買が成立する値段に近づけていきます。更新値幅は直前の価格または気配値段を基準に決まり、たとえば気配値段が1,000円以上1,500円未満なら30円、200円未満なら5円です。気配が動くと基準になる値段も変わるため、刻み幅は途中で切り替わります。ただし特別気配を出すもとになっている注文が指値注文の場合、その指値より優先する値段には更新できないため、途中で気配が止まって見えることがあります。

ストップ高気配で始まった株は、いつ寄りますか?

反対注文が一切入らないまま気配だけが切り上がった場合、ストップ高の値段に到達するまでは15分から27分です。当サイトが東証の公表する制限値幅の表と特別気配の更新値幅の表を突き合わせ、基準値段50円から30,000円までを1円刻みで29,951通り計算したところ、段数は6段から10段の範囲に収まり、66.2%の値段が10段=27分でした。株価が600倍違っても所要時間はほとんど変わりません。東証が2つの表の比をおおむね10前後に保つよう作っているためです。ストップ安の方向は非対称で、6段から19段=15分から54分と裾が長くなります。気配が下がると更新値幅も小さくなるためで、最も遅いのは基準値段1,005円前後の54分でした。

寄り付き前の8時から9時の間に、株の売買は成立しますか?

成立しません。東証は午前8時から9時までの間は注文の受付だけを行い、売買は行っていません。この時間帯は売り注文と買い注文がさまざまな値段で交錯した状態のまま積み上がり、9時になって初めて「板寄せ方式」で1つの始値が決められます。したがって8時台に見えている寄前気配は、その時点の注文状況から計算した「いま板寄せをしたらこの値段になる」という見込みであって、確定した値段ではありません。東証自身も、寄り付き前は注文が時々刻々と発注されるため寄前気配は大きく変化する、少し前に見た寄前気配をもとに発注しても注文状況が変わっている可能性がある、と説明しています。

1日の値動きのうち、寄り付きで決まる分はどれくらいですか?

およそ4割です。当サイトが日経225採用銘柄の2005年1月から2026年7月まで1,135,683銘柄日を実測したところ、前日終値から始値までの変動幅の絶対値は中央値0.63%、始値から終値までのザラバの変動幅は中央値0.86%でした。1日の値幅に占める寄り付きの割合は中央値で42.8%、日次リターンの分散に占める割合は42.4%です。方向で見ると、寄り付きの符号がその日の符号と一致した割合は64.2%でした。この比率は時代とともに上がっており、2005年から2009年は分散寄与32.5%だったものが、取引時間が15時30分まで延びた2024年11月以降は53.8%と過半を超えています。

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本記事は公開情報(日本取引所グループの売買制度に関する公表資料、東証公式株式サポーター、Yahoo Financeの株価データ、日本経済新聞社の日経平均株価構成銘柄)を基に、当サイトが計算条件を明示した上で集計・検証した一般的な情報提供を目的としており、特定の銘柄・商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。過去の実績・パターンは将来の成果を保証しません。投資に関する最終判断はご自身の責任で行ってください。

出典:日本取引所グループ「売買立会時」「売買成立の方法」「特別気配の更新値幅」「制限値幅」「呼値の単位」、東証公式株式サポーター、日本経済新聞社、Yahoo Finance。株価データは2026年7月31日終値まで(実測・集計は当サイト算出、2026年8月3日時点・編集部構成)。