INVESTMENT STRATEGY ・ 投資の考え方 第15号

半導体とハイパースケーラーの逆相関は本物。ただし資金は移っていない

AIブームの中心には2つの群がいます。データセンターを建てる側(アマゾン・アルファベット・メタ・マイクロソフト・オラクル)と、そこに部材を売る側(エヌビディア・マイクロン・ブロードコム・アプライドマテリアルズ)。2026年7月28日は前者が平均+0.61%、後者が平均▲4.26%でした。設備投資の負担を「支払う側」と「受け取る側」で綱引きが起きている、という説明がされています。

そこで2012年5月からの3,567営業日で、両群の連動がいつ・どれだけ切れたのかを測りました(2026年7月29日時点・編集部構成)。

判定
拡大解釈

連動が切れたのは本物。ただし「綱引き」ではない。生の30営業日相関は0.002ですが、95%信頼区間は−0.36〜+0.36で、マイナスと言い切れる精度がありません。市場の動きを除くと−0.614となり、14年で下位0.3%の逆相関が確定します。それでも7月は両群とも下げており(▲3.4%と▲16.9%)、片方から片方へ資金が移った形跡はありません。

30営業日の相関
0.002
95%CI −0.36〜+0.36
市場を除いた相関
−0.614
14年で下位0.3%
2026年7月
▲3.4 / ▲16.9%
両群とも下落
決算翌日の相関
0.496
282件・平常時は0.660
01 · THE FACT-CHECK

まず、報じられた数字を再現する

検証の出発点は、報道されている数字がそもそも正しいかどうかです(論点の出どころは日本経済新聞 2026年7月29日付「半導体株4%安、アルファベットやマイクロソフトは上昇 際立つ逆相関」。以下は同記事が挙げた数値を、当サイトが独自に取得したデータで突き合わせたものです)。群の定義も同記事に合わせ、ハイパースケーラー5社(AMZN・GOOGL・META・MSFT・ORCL)と半導体4社(NVDA・MU・AVGO・AMAT)とし、各群の日次リターンは構成銘柄の単純平均としました。

項目報道された値当サイトの実測判定
半導体4社の平均(7/28)4%安▲4.26%一致
ハイパースケーラー5社の平均(7/28)1%高+0.61%0.4pt差
SOX指数(7/28)4%安・4日続落▲4.49%・4日続落一致
SOXの6/22高値からの下落25%低い▲24.6%一致
マイクロン(7/28)9%安▲8.85%一致
サンディスク(7/28)14%安▲14.25%一致
7月に逆方向に動いた日数19営業日中9日19営業日中9日一致
30日相関の2024年以降のレンジ0.2〜0.8程度0.32〜0.79一致
30日相関の直近値ゼロ近辺まで低下0.002(7/24に−0.003)ほぼゼロ

※当サイト実測。Yahoo Finance の調整後終値(配当再投資込み)による日次リターン。2024年以降のレンジは10%点〜90%点。SOXの6月22日終値14,634.72は全期間の最高値でもあります。

ほぼ全項目が一致しました。差が出たのはハイパースケーラー5社の平均だけで、当サイトの実測では+0.61%です。以降はこの実測値で進めます。

02 · THE WEAK SIGNAL

「19営業日のうち9営業日で逆方向」は珍しくない。珍しいのは値幅のほうだった

逆相関の根拠としてまず挙げられるのが、逆方向に動いた日数です。ただしこれは、単独では弱い証拠でした。

両群が逆方向に動く日は、14年を通して全体の28.1%あります。19営業日を1区間としたローリング窓で9日以上が逆方向になった区間は、全区間の9.4%。暦月で数えても、171カ月のうち15カ月が2026年7月と同じかそれ以上でした。

営業日逆方向の日数比率
2017年2月191263.2%
2021年1月191052.6%
2021年2月191052.6%
2024年6月191052.6%
2014年6月211152.4%
2025年7月221150.0%
2026年7月19947.4%

※当サイト実測。2012年5月18日〜2026年7月28日の171カ月。2026年7月は7月28日まで。

3年に1回程度は起きる頻度です。理由ははっきりしていて、符号だけを数える方法は、両群がほとんど動かなかった日にも1票を与えてしまうからです。片方が+0.05%、他方が▲0.03%の日も「逆方向」として1日に数えられます。実際、値幅が全期間の中央値以上だった日に限ると、逆方向の比率は14.6%まで下がります。

ところが、同じ条件で2026年7月を測ると景色が変わります。7月は19営業日のうち16日が「値幅が中央値以上」の日で、そのうち8日が逆方向——比率50.0%です。全期間の基準率14.6%の3.4倍にあたります。

値幅が中央値以上の日うち逆方向比率
2026年7月16850.0%
2026年6月17847.1%
2024年6月12541.7%
2021年2月12541.7%
2015年10月13538.5%
全期間の基準率1,78426114.6%

※当サイト実測。値幅は両群の日次リターンの絶対値の平均で、全期間の中央値を閾値としています。該当日が10日以上ある100カ月での比較。

この基準では2026年7月が100カ月中1位で、6月が2位です。単純な日数では171カ月中15位相当だったものが、値幅を条件に入れた途端に首位に立ちます。

つまり珍しいのは日数ではありません。逆方向に動いた日の値幅のほうです。そしてそれを拾う指標が相関係数です。

珍しいのは日数ではありません。逆方向に動いた日の値幅のほうです。

本記事の実測より
03 · FIVE DAYS IN FOURTEEN YEARS

相関のゼロ割れは、14年で5日しかない

30営業日の相関係数がゼロを下回った日は、3,538日のうちわずか5日です。しかもそれは2つの局面に固まっています。

年別の中央値で見ると、直近の低さが際立ちます。

2020202120222023202420252026
30日相関の中央値0.7440.6010.8200.6640.5710.7120.434
その年の最低値0.2660.1260.6810.2620.2560.165−0.003

※当サイト実測。全期間(2012年〜)の中央値は0.634。2026年は7月28日まで。

2026年の中央値0.434は14年で最も低く、これは6月に始まった話ではありません。年初から一貫して低いのが2026年の特徴です。

04 · THE MARGIN OF ERROR

ただし、30営業日の相関はここまで粗い

ここで一度立ち止まる必要があります。30営業日という窓は、相関係数を測るには短いのです。

相関係数の信頼区間はフィッシャーのz変換で計算できます。観測数30で相関0.002のとき、95%信頼区間は−0.359〜+0.362。幅は0.72もあります。

この区間はゼロを含み、同時に「2024年以降のレンジ」とされた0.2も含みます。つまり生の30日相関だけを見て「マイナス圏に入った」「レンジを下抜けた」と断定することはできません。7月24日の最低値▲0.003で計算しても、区間は−0.362〜+0.358です。

一方で、「下がった」ことは言えます。2025年の中央値0.712との差を検定するとp=0.0011、2024年の中央値0.571との差はp=0.0175で、どちらも有意です。低下は本物、マイナスかどうかは判別不能、というのが正確な状態です。

窓を伸ばすと、「マイナス」は消えて「過去最弱」が残る

30営業日という窓の長さは報道の選択です。窓を変えても同じ絵になるかを確認しました。

窓の長さ直近値95%信頼区間全期間の中央値ゼロ割れの日数順位
30営業日0.002−0.359 〜 +0.3620.6345日下位0.2%
60営業日0.135−0.123 〜 +0.3760.6170日史上最低
90営業日0.289+0.087 〜 +0.4680.6180日下位0.4%
120営業日0.307+0.135 〜 +0.4610.6230日史上最低

※当サイト実測。2012年5月18日〜2026年7月28日。信頼区間はフィッシャーのz変換による近似。60営業日と120営業日の直近値は、いずれも2026年7月28日が全期間の最低値です。

読み取れることは2つです。「連動が過去最弱」という結論はどの窓でも残ります——60営業日と120営業日では直近値がそのまま史上最低です。一方で「マイナスに入った」は30営業日の窓でしか出ません。90営業日以上では信頼区間の下限すらプラスです。

05 · STRIPPING OUT THE MARKET

市場の動きを除くと、逆相関が確定する

ここまでは生の相関の話です。しかし両群とも、市場全体に強く連動しています。30営業日で推定したS&P500に対するβは、ハイパースケーラー1.62・半導体2.78。市場が動けば両方が同じ方向に引っ張られ、それが正の連動として観測されます。

そこで各群のリターンから「β×市場リターン」を差し引き、残った部分同士の相関を測りました。AI複合体の内部だけで何が起きているかを取り出す操作です。

指標生の相関市場を除いた相関
直近値(2026-07-28)0.002−0.614
95%信頼区間−0.359 〜 +0.362−0.798 〜 −0.326
全期間の中央値0.634+0.124
全期間での順位下位0.2%下位0.31%
史上最低−0.054(2016-05-19)−0.711(2026-07-15)

※当サイト実測。βは30営業日のローリング推定。残差=各群の日次リターン−β×SPYの日次リターン。全3,509日。

市場を除いた相関は−0.614で、95%信頼区間は−0.798〜−0.326区間の全域がマイナスです。生の相関では言い切れなかった「逆相関」が、ここで確定します。史上最低値も2026年7月15日の▲0.711で、この7月に記録されています。

生の相関では言い切れなかった「逆相関」が、ここで確定します。

本記事の実測より

年別の中央値でも断層がはっきりしています。

202120222023202420252026
市場を除いた相関の中央値+0.159+0.150+0.174−0.013+0.337−0.094

※当サイト実測。2026年は7月28日まで。

つまり「逆相関が起きている」という見立て自体は正しいものでした。ただし、その根拠として示された生の30日相関では証明できていません。証明できるのは、市場の動きを取り除いた後の数字のほうです。

06 · RULING OUT THE ILLUSION

これは見せかけではない。バイアスは逆向きに効いている

相関の低下を見たときに最初に疑うべきは、値動きの荒さが数字を歪めていないかです。ここには古典的な指摘があります。

Forbes と Rigobon(2002)は、市場が荒れている期間には相関係数が上方にバイアスされることを示しました。アジア通貨危機・メキシコ危機・1987年の暴落で「危機時に相関が上がった=伝染が起きた」とされてきた現象が、このバイアスを補正するとほぼ消えるという論文です。表題の「伝染ではなく、単なる相互依存」はここから来ています。

同じことが今回のデータでも起きているかを確認しました。半導体群のボラティリティで日を5等分し、上位と下位で全期間の相関を測り直します。

区分日数両群の相関
半導体のボラティリティ上位20%7080.760
半導体のボラティリティ下位20%7080.490

※当サイト実測。30営業日のローリング標準偏差で区分。

再現しました。荒れている期間の相関は0.760、静かな期間は0.490です。そして現在の半導体群のボラティリティは年率60.6%で、14年の96.5パーセンタイルにあります(中央値は30.5%)。

つまりいまはバイアスが相関を押し上げる側に効いている局面です。それでも生の相関は下位0.2%、市場を除いた相関は下位0.31%まで落ちています。低下は荒さによる見せかけではなく、むしろ実態は測定値より強いと読むのが妥当です。

方向がもうひとつあります。Ang と Chen(2002)は、米国株と市場全体の相関が下落局面でこそ高くなるという非対称性を示しました。7月は明確な下落局面です。通常なら相関が上がる条件が揃っているのに、下がっています。

07 · NOT A TUG OF WAR

それでも「綱引き」ではない — 7月は両方が下げている

ここが本記事の要点です。逆相関が実在することと、資金が一方から他方へ移ったことは、まったく別の主張です。

逆相関が実在することと、資金が一方から他方へ移ったことは、まったく別の主張です。

本記事の結論

2026年7月の19営業日を並べます。

日付ハイパースケーラー半導体S&P500
07-01+2.31%▲6.01%▲0.14%
07-02▲0.96%▲4.16%▲0.13%
07-08▲1.31%+3.12%▲0.31%
07-14▲0.31%+3.46%+0.36%
07-15+3.12%▲2.27%+0.40%
07-16▲2.75%▲4.07%▲0.54%
07-21+0.18%+5.94%+0.83%
07-23▲4.38%+0.54%▲1.23%
07-24▲1.20%▲3.83%+0.10%
07-27+1.56%▲2.63%+0.02%
07-28+0.61%▲4.26%+0.24%
7月累計▲3.41%▲16.90%▲0.79%

※当サイト実測。値幅の大きい日を中心に抜粋(累計は19営業日すべてを複利で計算)。各群は構成銘柄の日次リターンの単純平均。

7月はハイパースケーラーも▲3.41%下げています。両方が下げた日が5日あり、片方が上がって片方が下がるという形にはなっていません。半導体株指数が最高値を付けた6月22日以降で見ても、ハイパースケーラー▲9.37%・半導体▲15.57%で、やはり両方マイナスです。

売られた資金が向かった先は、少なくともこの5社ではありません。当サイトは同じ局面をヘルスケアの側から測り、そちらではβで説明できない超過が2026年6〜7月に月+7%台で残ることを確認しています。

実際の運用でも、どちらか一方に絞る動きは見えません。デビッド・テッパー(アパルーサ)の2026年Q1時点の13Fは、ハイパースケーラー側のアマゾン(15.16%)と、半導体側のマイクロン・エヌビディア(合計13.81%)を両方とも上位保有として抱えています。

7月28日の「ハイパースケーラー高」は、2銘柄が作った

ハイパースケーラー7/28半導体7/28
アルファベット+2.19%エヌビディア+0.25%
マイクロソフト+1.09%ブロードコム▲0.60%
オラクル+0.05%アプライドマテリアルズ▲7.82%
メタ▲0.08%マイクロン▲8.85%
アマゾン▲0.23%
5社平均+0.61%4社平均▲4.26%

※当サイト実測。2026年7月28日の日次リターン。

群平均+0.61%を作ったのはアルファベットとマイクロソフトの2銘柄で、この2社を除いた3社の平均は▲0.09%です。半導体側も全面安ではなく、エヌビディアは+0.25%と上げています。「ハイパースケーラーが買われ、半導体が売られた」という要約は、群の中身を落としています。

08 · WHERE THE LINK BREAKS

連動が切れる場所は、決算翌日に集中していた

では、両群の連動はどこで切れているのか。設備投資計画が更新されるのは決算発表です。ハイパースケーラー5社の決算翌営業日を14年ぶん全数で拾い、その日の両群の動きを測りました。2012年6月18日から2026年7月22日までの282件(反応日ベースでは222日)です。

指標決算翌営業日全期間の平常時
両群の相関0.4960.660
逆方向に動いた比率35.5%28.1%

※当サイト実測。決算日はYahoo Financeの発表日、反応日は翌営業日(5社とも引け後発表)。相関の差はフィッシャーのz検定でp<0.001、比率の差はp=0.006。

決算翌日には相関が0.660→0.496に落ち、逆方向の日が28.1%→35.5%に増えます。どちらも統計的に有意です。連動の切れ目は14年前から決算日にありました。2026年6月に始まった現象ではありません。

ただし、その中身は「逆に動く」ではありませんでした。

決算翌日の内訳件数ハイパースケーラー群半導体群倍率
発表企業の株価が上昇150+1.85%+0.21%8.8倍
発表企業の株価が下落132▲1.35%▲0.25%5.4倍

※当サイト実測。各群の平均日次リターン。倍率はハイパースケーラー群の振れ幅を半導体群で割った値。

ハイパースケーラーが1.85%上げる日に、半導体は+0.21%しか動きません。下げる日も同じで、▲1.35%に対して▲0.25%です。半導体は逆に動いているのではなく、ついてこないだけ——振れ幅にして5〜9倍の減衰です。相関が下がるのはそのためで、綱引きのように一方の損が他方の得になっているわけではありません。

半導体は逆に動いているのではなく、ついてこないだけです。

本記事の実測より

遅れて伝わる関係もない

顧客とサプライヤーのように経済的につながった企業では、片方のニュースが遅れてもう一方の株価に反映されることが知られています。Cohen と Frazzini(2008)は主要顧客のデータを使い、投資家の注意力の制約からこの遅れが生じること、そこに月あたり150ベーシスポイントを超える超過収益が残ることを示しています。

今回のデータでは、この遅れは見つかりませんでした。ハイパースケーラーの当日の動きと半導体の翌日の動きの相関は−0.096、逆方向は−0.045で、どちらもわずかにマイナス(前日の動きの巻き戻し)です。世界で最も注視されている9銘柄には、注意力の制約が働く余地がないということでしょう。

09 · THE TWO ENDS OF THE ROPE

実額で見ると、綱の両端は同じ長さではない

「支払う側」と「受け取る側」という比喩が、金額として成立するかも確認しました。ハイパースケーラー5社の設備投資はSEC EDGARのXBRL(一次情報)から、半導体4社の売上高は四半期決算から取っています。

四半期ハイパースケーラー5社のCapEx半導体4社の売上高売上/CapEx
2025-Q2$97.3B$75.5B0.78
2025-Q3$105.8B$81.3B0.77
2025-Q4$130.7B$95.5B0.73
2026-Q1$148.4B$118.3B0.80
直近4四半期 合計$482.1B$370.6B0.77

※CapExはSEC EDGARのXBRL(us-gaap:PaymentsToAcquirePropertyPlantAndEquipment、アマゾンのみPaymentsToAcquireProductiveAssets)をYTD差分から四半期単体に変換。売上高は各社の四半期決算。オラクル・エヌビディア・マイクロン・ブロードコム・アプライドマテリアルズは決算期がずれるため、期末日の属する暦四半期に割り当てています。2026-Q1のCapEx内訳はアマゾン$44.20B・アルファベット$35.67B・マイクロソフト$30.88B・オラクル$18.64B・メタ$19.00B。

金額の桁は近く、2022年10-12月期の$41.9BからCapExは3.5倍になっています。ここまでは比喩が成り立ちます。

ただし綱の両端は同じものではありません。ハイパースケーラーの設備投資には土地・建屋・電力設備・冷却が含まれ、全額が半導体に向かうわけではありません。逆に半導体4社の売上も、この5社だけから来ているわけではありません。とくにアプライドマテリアルズの顧客はハイパースケーラーではなく、ファウンドリとメモリメーカーです。装置メーカーはデータセンター投資から2段階離れており、「受け取る側」に一括りにすると誤読を招きます。7月28日に同社が▲7.82%下げたのも、データセンター投資の話とは別の文脈です。

10 · WHAT CORRELATION CAN'T PREDICT

相関の水準からは、先行きが読めない

実用上いちばん知りたいのは「連動が切れたら、どちらを持つべきか」でしょう。30営業日の相関で日を5等分し、その後20営業日の両群のリターン差を測りました。

相関の区分日数相関の中央値ハイパースケーラー半導体
最低(Q1)7040.324+1.86%+2.54%▲0.92%
Q27030.505+2.42%+3.27%▲0.42%
Q37040.635+2.75%+3.53%▲1.40%
Q47030.735+1.97%+4.48%▲1.99%
最高(Q5)7040.834+2.09%+5.14%▲2.38%

※当サイト実測。各区分の日を起点とした20営業日後までのリターンの中央値。「差」の列は各日の差の中央値であり、両群の中央値の引き算とは一致しません(中央値は引き算できないため)。起点が1日ずつずれる区間が重なるので、各行の観測は独立ではありません。

どの区分でも半導体が優位です。相関が最も低かった区分でも差は▲0.92%で、ハイパースケーラーが勝つ形にはなりません。相関が下位5%だった176日に絞っても、その後20営業日でハイパースケーラーが上回ったのは35.2%にとどまりました(60営業日でも45.4%)。

ただしこれは、2012年以降の14年間が半導体の圧勝期だったことの裏返しでもあります。日次リバランスの等金額で、半導体群は+26,350%、ハイパースケーラー群は+1,891%でした。どの区分を切っても半導体が勝つのは当然で、この表から言えるのは「相関の水準は、その優劣を動かしていない」ということだけです。

留意点

SOURCES

出典と一次資料

FAQ

Q. 半導体とハイパースケーラーは、本当に逆方向に動いているのですか?
生の数字だけでは言い切れませんが、市場の動きを除けば言い切れます。当サイトが2012年5月から2026年7月28日までの3,567営業日で測ったところ、30営業日の相関係数は直近0.002でした。ただし30日という短い窓での相関の95%信頼区間は−0.36〜+0.36と広く、ゼロもプラス0.2も含みます。「マイナス圏に入った」と断定できる精度はありません。一方、両群ともS&P500に対するβが高く(ハイパースケーラー1.62、半導体2.78)、市場全体の上下が両者を同じ方向に引っ張っています。この市場の動きを除いた残差同士の相関を測ると−0.614で、95%信頼区間は−0.798〜−0.326と全域がマイナスでした。14年3,509日のうち下位0.31%にあたる水準です。つまり逆相関そのものは実在し、しかも生の相関が示すより強く出ています。

Q. 「7月の19営業日のうち9営業日で逆方向」というのは強い証拠ですか?
弱い証拠です。当サイトの実測でも7月は19営業日のうち9営業日が逆方向で、報道の数字と一致しました。しかし両群が逆方向に動く日は14年を通して全体の28.1%あり、19営業日を1区間としたローリング窓で9日以上が逆方向になった区間は全体の9.4%にのぼります。暦月で数えても171カ月のうち15カ月が2026年7月と同じかそれ以上で、最も多かったのは2017年2月の19営業日中12日(63.2%)でした。3年に1回程度は起きる頻度です。符号だけを数える方法は、両群がほとんど動かなかった日にも1票を与えてしまうため、小さな値動きが混ざるほどコイン投げに近づきます。珍しいのは日数ではなく、逆方向に動いた日の値幅のほうです。

Q. 半導体からハイパースケーラーへ資金が移っているということですか?
その形跡は見当たりません。2026年7月の19営業日で、半導体4社の等金額は▲16.90%でしたが、ハイパースケーラー5社も▲3.41%と下げています(S&P500は▲0.79%)。両方が下げた日が5日あり、片方が上がって片方が下がる「綱引き」の形にはなっていません。フィラデルフィア半導体株指数が最高値を付けた6月22日以降で見ても、ハイパースケーラー▲9.37%・半導体▲15.57%で、やはり両方マイナスです。7月28日にハイパースケーラー群が平均+0.61%になったのも、アルファベット+2.19%とマイクロソフト+1.09%の2銘柄によるもので、この2社を除いた3社の平均は▲0.09%でした。同じ日にエヌビディアは+0.25%と上げており、半導体が全面安だったわけでもありません。連動が切れたことと、資金が移動したことは別の話です。

Q. 連動が切れた局面では、どちらを持つのが有利だったのですか?
過去14年では、相関の水準から先行きの優劣は読み取れませんでした。30営業日の相関で日を5つに区切り、その後20営業日の両群のリターン差(ハイパースケーラー−半導体)の中央値を測ると、相関が最も低い区分で▲0.92%、最も高い区分で▲2.38%と、どの区分でも半導体のほうが優位でした。相関が下位5%だった176日に限っても、その後20営業日でハイパースケーラーが上回ったのは35.2%にとどまります。ただしこれは2012年以降の14年間が半導体の圧勝期だったことの裏返しでもあり(日次リバランスの等金額で半導体+26,350%、ハイパースケーラー+1,891%)、将来も同じとは限りません。本記事は先行きを予想するものではなく、過去の実績は将来の成果を保証しません。

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本記事は公開市場データ(Yahoo Finance経由)、SEC EDGAR の開示情報および学術文献を基に、当サイトが計算条件を明示した上で集計・整理した一般的な情報提供を目的としており、特定の銘柄・商品・売買タイミングの採用を推奨・勧誘するものではありません。過去の実績は将来の成果を保証しません。投資に関する最終判断はご自身の責任で行ってください。

出典:Yahoo Finance(調整後終値)、SEC EDGAR XBRL、Forbes & Rigobon (2002) The Journal of Finance 57(5)、Ang & Chen (2002) Journal of Financial Economics 63(3)、Cohen & Frazzini (2008) The Journal of Finance 63(4)。市場データは2026年7月28日まで(実測・集計は当サイト算出、2026年7月29日時点・編集部構成)。